横笛の練習方法

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酸欠1回で1ヶ月遅れます

正しい練習では酸欠になりません

酸欠になったら負け

横笛だけではなく、あらゆる笛は呼吸を整えて演奏します。ですから正しい練習では絶対に酸欠にはなりません。ところが実際には酸欠になって笛を諦める人が多いです。そういう人たちを見ていると共通点があります。

 ①笛なんて簡単そうだと思っている

 ②音を鳴らそうと強く吹く

 ③酸欠になって諦める

 

この悪循環を断ち切るには、まず「笛は難しい」と考えてください。その上で呼吸を整えて、細く静かに息を出すことを守ってください。

それでも笛の難しさ・呼吸の大切さを理解できない人が多いです。そういう人はすぐ酸欠になってしまいます。

酸欠になったら負け。「酸欠1回1ヶ月」といって、1回酸欠になる人は1ヶ月上達が遅れます。10回も酸欠になる人は1年くらい上達しないで苦しむことになります。

 

「大人力」を使いましょう

吹奏楽部に入部すると、1日4時間練習します。しかも怖い先輩がつきっきりで、「そんな吹き方と違う」「まだわかっていない」「明日の朝、最初においで」と何度も何度も間違いを指摘してくれます。

時には涙を流し、夢の中でさえ練習するような日が続き…

それでもフルートを演奏させてもらえない生徒もいるのです。

 

みなさんも、そんな練習やってみますか?

 

大人になってから限られた時間で練習をするのですから、吹奏楽部のようなスパルタは厳しいです。それなら1日15分でいいので、しっかり考えて練習しましょう。

大人の判断力(大人力)」が求められるわけです。

 

 

 

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こういう人は1〜2年かかる?

 

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「大人力」を使いましょう

(吹口がずれているのに気がついていない)

基礎練習は「詰め将棋」

未経験の方が一から横笛を練習するために、テキストでは次のような順番で演奏のノウハウを学んでいくことになります。

 ①紙片を使って腹式呼吸と胸式呼吸の違いを理解します

 ②細いストローで腹式呼吸を体験 持続時間を測ります

 ③細いストローで息の強さを変える体験をします

 ④ストローなしの唇だけで息を細くして持続時間を測ります

 ⑤いよいよ横笛で音を出す練習です(テキストでは練習用のコロコロ笛)

 ⑥シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ドという順番で音を出す練習 運指を学びます

 ⑦「きらきら星」など簡単な曲を演奏します

 ⑧2オクターブ目の音を出す練習をはじめます

 

この①から⑧までの練習を「詰め将棋」のように確実に積み重ねてください。面倒に思って順番を飛ばしたり、理解が浅いまま先へ進むと、必ず息が苦しくなります。

 

この「息が苦しくなることがやりなおしのサイン」です。

少しでも息の苦しさを感じたら一旦練習をやめて原因を考えてください

 

この「練習をやめられるか」どうかが「大人力」になります。

 

息が苦しくなった原因を徹底的に考え、場合によっては一から練習をやりなおすことも必要になってきます。そういうところが「詰め将棋」なのです。

 

ここまで説明しても酸欠になって、そのまま練習を続ける人が7割います。その「真面目さ」が足を引っ張ります。

家を建てる時に、基礎のコンクリートが固まる前に柱を立てたり、屋根もないのに瓦を並べたり、そんな人はいないですよね。でも横笛だと、いきなり「ドレミ…」とやってしまうのです。

どこかで横笛を甘く見ているのでしょうか?

 

一度も酸欠にならずに「大人力」を発揮して、慎重に「詰め将棋」を進めたら2〜3日で「ドレミ」ができる人も出てくると思いますよ。

実際に初めて笛を手にして20分ほどで「きらきら星」を演奏される方もいます。

 

でも最初から「2〜3日でドレミ」と思って「詰め将棋」を無視するとダメです。「ドレミ」ができても息が続かず「音は出るけど苦しい」まま何年も上達しません。

 

 

調子のいい時に練習する

一番いいアドバイスは「調子の悪い時は練習しない」「調子のいい時に練習する」でしょうか。

笛に慣れるまでは、驚くほどいい音が出る時もあれば、かすれて音が出ない時もあります。音が出ない時に無理して練習すると、どうしても「鳴らそう」とするので息を強く吹いてしまいます。それで音が出ても「悪い癖」がつくだけ。

まったく逆効果です。

 

反対に「あれ? こんなに簡単だっけ?」という時に時間をかけて練習すると、静かに吹くコツが身につきますし、いいイメージを持って練習を終えることができます。

いい音が出る時に洗面所に行って、鏡で吹口の位置や唇の形を確かめると効果大

 

落ち込んで練習を終えるより、「才能あるかも」と思って練習を終える方が上達が早いですよ。

 

酸欠のまま練習を続ける人でも、1年か2年するとある日突然普通に演奏できるようになります。中には演奏が上手になる人もいるので、「酸欠になるから才能がない」とは言えません。

ただ「先生」としては、なるべく苦しい思いをしてほしくないので、時にはしつこく、時には愚痴っぽくなってしまうのです。

 

 

 

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紙片を動かさないように息を出す

①紙片を使って腹式呼吸と胸式呼吸の違いを理解する

テキスト付録の紙片(ない場合はレシートなど)の上端を持って、口から20センチほど離したところに下げてください(イラスト参照)。

 紙片がパタパタ動くように吹くのが胸式呼吸(ロウソクを吹き消す呼吸)

 紙片を動かさないように吹くと腹式呼吸

 

この体験は1回やればわかりますね。

 

紙を使わなくてもボイストレーニングのように「あ〜〜〜〜〜〜〜〜」と声を出せば腹式呼吸になっています。

 

横笛を演奏するときは、ここまで静かに吹きません。

でも尺八は、どんなに静かに吹いても音が出ます。

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テキストの付録

②細いストローで腹式呼吸を体験 持続時間を測ります

まず呼吸を整えてください(ヨガの呼吸法を学びます)

ゆっくりと深呼吸をくり返してください。静かに息を吐き出すと「もう出なくなる」タイミングがあります。無理をしておなかをへこませれば、もう少し息が出ますが、決して無理はしないで息を吸う。そのタイミングです。

ヨガの呼吸法は、自然に息が出なくなるタイミングで2秒間息を止めて、静かに息を吸いはじめます。息を止めても苦しくならないはずです。

ヨガでは2秒間息を止めることで体に「酸素を求める合図」を送ります。そこで息を吸うと「より深い呼吸」になっていくのです。

笛の練習の最初にヨガの話をするなんて「大人」な感じがしますね。

 

みなさんも深呼吸をしながら自然に息が出なくなるタイミングをしっかり身につけてください。息を吸う前に2秒間、息を止めてみてください。それで苦しくなかったら大丈夫です。

このタイミングを守る限り、絶対に酸欠にはなりません。

 

 

テキスト付録の細いストロー(先端に詰めものをして狭くしている)を口にくわえてできる限り静かに息を出してみましょう。

このストローを使うと腹式呼吸しかできません。

 

それでは持続時間を3回計測してください。呼吸を乱さないように、1回計測したら2回以上息を吸って次の計測にそなえます(インターバル呼吸)。

 

吹き終わり自然に息が出なくなるタイミングを守ってください。

無理に息を押し出すと息が苦しくなってしまいます。少しでも苦しくなったら練習をやめて、深呼吸に戻ってください。

厳しい練習はスタートしています。ここで苦しくなるようでは、道は遠いですよ。

 

持続時間の目安は

 健康な男性で50秒間くらい

 健康な女性で45秒間くらい

この秒数より10秒以上短い人は呼吸機能が衰えている可能性があります。

 

・「大人力」のある人は、持続時間が短くても計測を終えて原因を考えます。

・「大人力」のない人は、無理に息を押し出して呼吸を乱します。

 

腹式呼吸に不慣れな人は「できる限り静かに」と指示しても強く吹いてしまいます。最初は30秒くらいでも、考えながら計測をくり返すとコツがわかって秒数が伸びていきます。

 

 

今度は頬を膨らませて全力で息を出して持続時間を計測する

次に1回だけでいいので、頬を膨らませて全力で息を出して持続時間を測ってみてください。

いかがでしょう? 20秒間から30秒間近く息が続く人もいるのでは?

 

よく「静かに吹いて25秒、思いっきり吹いて27秒」という人がいます。

アレアレですね。

 

腹式呼吸に不慣れなので静かに吹くコツがわからなかったのです。そういう人ももう一度静かに吹くと「52秒」続いたりします。

 

この練習は、腹式呼吸で①息を吸うタイミング②静かに吹くコツをマスターするのが目的です。ですから「タイミングは無視する」「秒数が短くても先に進む」では、練習の意味がまったくありません。

 

 

 

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息の強さを変えてみる

③細いストローで息の強さを変える体験をします

息の強さを「風力」で表現します。

 できる限り静かに長く吹く息が「風力1

 頬を膨らませて思い切り吹く息が「風力10」とします。

 

では「風力1」と「風力10」の中間の「風力5」を出してみましょう。

強さの程度はみなさん個人の判断で。

 

次に一呼吸で「風力1」「風力5」「風力1」「風力5」…と

息の強さを変えてみてください。

風力10」は笛の演奏には使わないので、みなさんのお好みで。

 

この時イラストのように下腹部に手を当てると、風力を変えるたびに下腹部が動くのがわかります。

この場所が呼吸のツボ(ポンプ)「丹田」です。

丹田」に手を当てながら「風力1」を続けると、ゆっくりと「丹田」が体の中に沈んでいく感覚がわかります。

これが腹式呼吸なのです。

丹田」が沈み込む早さを限界まで遅くすると、呼吸の持続時間が長くなります。

 

笛の演奏でも「丹田」を意識すると、1オクターブ目と2オクターブ目の切り替えがスムーズになり、高音域も安定して出せるようになります。ビブラートも「丹田」を使わないとできません。

この練習では「風力」をコントロールする技術を学び、手を当てなくても「丹田」がわかるようになってください。

 

 

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②思い切り息を吸い込む唇の形

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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こんな唇ダメですよ!!

④ストローなしの唇だけで息を細くして持続時間を測ります

①〜③までの練習をマスターしたら、ストローをはずして唇だけで細く静かな息を持続させる練習です。

テキストを持っていない人は、ここからスタートです。

 

要注意

通勤途中でも風呂の中でもできる練習ですが、この練習を軽視する人が多いです。

(守山はホントは横笛なんて2〜3日で吹けると思っていますが、この練習が鍵になります)

 

 

唇を固める感覚をマスターしましょう

吹奏楽の世界では、演奏時の唇(広い意味で口の内部も)の形が基本中の基本!! _アンブシュア」なんてフランス語を使って指導しています。

 

3通りの方法を紹介しますので、いろいろ試してみてください。

①お茶を冷ますときのように細く息を出しながら、次第に息を強くしてみましょう

限界まで細く強く吹くと、息が太くならないように唇に力が入っているのがわかりますね。これが「唇を固める」と表現される唇の形です。

そのまま息の角度を少し下に向けると、笛を吹く形になります。コップに水を入れて水面の同じ場所にに息をぶつけ続けると、唇の形がよくわかりますよ。

 

②細いストローをくわえた唇を再現して、思いっきり息を吸ってみましょう

まず実際に細いストローをくわえてください。ない場合は爪楊枝でもかまいません。唇の形を維持したままストローを抜きます。しばらく唇の隙間から息を出し入れしていてください。唇の形を変えないで思いっきり空気を吸い込むと自然に唇に力が入ります。

唇に力が入ったまま、今度は息を出すと細い息になります。

出す息が限界まで細くなるように唇の力をコントロールしてください。

 

③閉じた唇からガス漏れのように息をもらしてみましょう

軽く力を入れて唇を閉じてください(硬く閉じると息が出ません)。

頬も固めて口の形を維持して(膨らまさないで丹田に力を入れて息を押し出します。

ガス漏れのように細い息が出たら、唇の力をコントロールして息の細さを変えてみてください。

 

唇を尖らせるとダメです。唇を尖らせても笛の音は出ます。けれども息を大量に消費するので何年経ってもまともな演奏ができなくなってしまいます。

 

 

少し唇を動かして息の角度を変えてみましょう

唇を固める感覚が身についたら、息の角度を微調整する感覚をマスターしておきましょう。

 

横笛は吹口の位置がわかりにくく、少しずれてしまうと音が出ません。そのときあせって強く吹くと、それまでの練習が台無しになってしまいます。

音が出ていてもブレスノイズが大きくなったり、響きが悪くなることもあります。

そういうときは、唇をわずかに動かして息の角度を微調整することで改善できる場合があります。

 

 

持続時間を計測しましょう

なるべく唇を固めた状態で静かに息を押し出して持続時間を測ってみてください。

 

持続時間の目安は

 健康な男性で35秒間くらい

 健康な女性で25秒間くらい

 

持続時間が「目安」より長い人は、すぐに横笛が演奏できます。

短い人は「唇を固める感覚」がまだつかめていません。その状態で横笛を手にすると気持ちよく演奏できるまでに1年以上かかるかもしれません。

 

地味な基礎練習ですが「大人力」をフルに発揮して、しっかりマスターしましょう。

 

 

息の強さを変えてみましょう

唇だけで息の強さ「風力」を切り替える練習です。

笛の演奏では1オクターブ・2オクターブ・3オクターブの切り替えを「風力」をコントロールしておこないます。

細いストローがないと「風力10」は維持できません。最高で「風力7」までです。

 

一呼吸で

風力1」「風力3」「風力5」「風力7

風力3」「風力5」「風力7」「風力5」「風力3

など自由自在に切り替えられるようになっておきましょう。

 

ちなみに笛の演奏では、それぞれの音程で「風力」が異なります。

 1オクターブ目のドは「風力3

 1オクターブ目のソは「風力4

 1オクターブ目のシは「風力5

 2オクターブ目のドは「風力5

 2オクターブ目のソは「風力6

 2オクターブ目のシは「風力7」 (あくまでイメージですが)

 

この練習が未熟で「風力4〜5」までしかコントロールできない人は、横笛でも低い1オクターブ目のドや、2オクターブ目のソ・ラ・シが演奏できません。

風力1〜7」までコントロールできる人は、簡単な曲ならすぐ演奏できます。

 

実際に横笛で練習するようになっても「唇の固め方」と「風力の切り替え」だけならいつでも練習できます。

何年経っても横笛が上達しない人は、唇の固め方(アンブシュア)が未熟です。

未熟なまま横笛を持たないように、しっかりとマスターしておきましょう。

 

 

 

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ドアをノックするように2回吹く

⑤いよいよ横笛で音を出す練習です

これまで横笛を買って挫折されたみなさん。谺堂の横笛をご購入いただいたお客様。「どうしても面倒な基礎練習は嫌い」という方は、ここから練習スタートです。

ただ、基礎練習をマスターされていないので慎重に進めてください。勘のいい人ならすぐに横笛が吹けるようになるかもしれません。

でも少しでも呼吸を乱した人は、基礎練習を真面目にやってください。

 

 

「シ」を吹く

イラストのように横笛の吹口近くを両手で持ってください。指先と吹口の間には少し隙間をあけて、指先が息の邪魔をしないようにしましょう。

 

笛を下唇(歯と歯ぐきの境目の段差)にしっかり押し当てます。こうすると笛がグラグラしなくなります。

横笛が鳴らない原因は、唇に軽く当てている場合もあります。

 

吹口が左右にずれていないか、吹口や指穴が真上を向いているか、鏡を見て確認しましょう。

 

唇を固めて息を細くして「フッ」「フッ」と2回、少し強めに息を吹いてください。

イスに座ってテーブルの上のティッシュペーパーを軽く動かすような強さです

 

音が出たでしょうか?

音が出ない場合は

 ①笛を一度離して正しい位置につけ直す

 ②鏡で吹口の位置を確認する

 ③唇を動かして息の角度を微調整する

…など、なにか工夫をしてください。

「大人力」で、同じことをくり返さないようにしましょう。

 

指穴を全開した「」の音は「風力5」で吹く音です(少し強めです)。

ドアをノックするように2回吹くのは、この吹き方だと酸欠にならないからです。

 

にごり」や「かすれ」のない元気な音が出たら、一番上の指穴を閉じて「」に挑戦してください。

 

・「大人力」のある人は、「にごり」や「かすれ」のない元気な音を目指します。

・「大人力」のない人は、音色なんか気にしないで先へ進みます。

 

 

 

 

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右手を笛の先端にずらして「ラ」を吹く

「ラ」を吹く

」が元気よく出たら「」に挑戦します。

 ①右手を笛の先端にずらします

 ②左手で前から指穴を閉じるのですが、人差し指の根元を笛につけてください

  こうすると笛がグラグラしなくなります

 ③人差し指を90°(鍵のように)曲げて一番上の指穴を閉じます

 ④「フッ」「フッ」と2回息を吹いて「」の音を出してください

 ⑤「」が出たら指先を開け閉めして「シラシラシラシラ…」と出してください

  指先で無理なく開け閉めできる持ち方が良い持ち方になります

 

」が出たら、中指を閉じて「

中指を開け閉めして「ソラソラソラソラ…

 

」が出たら、薬指を閉じて「ファ」。

薬指を開け閉めして「ファソファソファソファソ…

 

薬指は細かい動きが苦手です。薬指が楽に動くように指の位置を工夫しましょう。

 

 

 

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右手も使って「ミ」を吹く

「ミ」を吹く

ファ」が出たら、右手人差し指で指穴を閉じて「」に挑戦します。

このとき右手の小指は笛に当てます。

人差し指を開け閉めして「ミファミファミファミファ…

 

」が出たら、中指を閉じて「

中指を開け閉めして「レミレミレミレミ…

 

横笛の持ち方

印、右から①下唇 ②左手人差し指 ③右手小指 の3カ所で笛を支えます。

3点で支えるので、指穴を全開しても笛がグラグラしなくなります。

よく力が入りすぎて「親指がつる」という人がいますが、3点で支えると指先の力を抜いて生卵を持つように指穴を押さえることができます。

しっかり慣れておきましょう。

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「ド」は難しい音です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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力の入らない無理のない姿勢で

「ド」を吹く(詰め将棋の「王手」 最終試験です)

」が出たら、薬指を閉じて「」に挑戦します。

指穴をすべて閉じた低いは「筒音(つつね)」と呼ばれて、演奏が難しい音です。

長い筒先まで静かに息を通すような、息の細さと正確さが求められます。例えるなら60センチくらいの長い箸の先で大豆をつまむような難しさです。

イスに座ってテーブルの上のティッシュが、かすかに揺れるくらいの息の強さです。

 

それくらい慎重に抑え吹かなければいけない「筒音は…

 「笛の魂がこもった音

 「心をこめて演奏する音

 「いうことをきかない気難しい音

 「未熟さをさらけだす音」  …などと表現されています。

 

初めて笛を吹いて「筒音」が出た人は「才能」があるといっていいでしょう。___フッ」「フッ」という吹き方ではなく、静かに「フ〜〜〜〜ッ」と吹いて、___その感覚をしっかりマスターしてください。

 

これまでの練習で音色の「にごり」や「かすれ」を放置してきたり、少々息が苦しくても強引に練習を進めてきた人は、「筒音」をコントロールできません。

出ない」「かすれる」「高い音になってしまう」などのトラブルが続きます。

これでは「最終試験」に不合格です。

基礎練習④唇だけで息を細くして持続時間を計測する練習を繰り返してください。

 

笛教室でも「筒音」を聞くと「まだまだ練習が足らない」「強く吹きすぎている」「笛に向き合っていない」というのが伝わってきます。

反対に一瞬で「うわっ!! 上手になってる!!」とわかる人もいて、それまでの苦労を知っているだけに感動することも多いです。

 

 

楽な姿勢で演奏する

」「」「」「ファ」「」「」「」と笛の音を出すので、イラストでは笛を水平に持つように描いてきました。笛を水平に持ったまま演奏すると、右肩があがるのでリラックスできません。あくまで初心者の練習用の持ち方になります。

筒音」が出たらイラストのように笛を動かし「無理のない姿勢」で演奏するようにしましょう。

指穴を閉じるのに力が入りすぎていると親指がつったり肩や首が痛くなります

笛の持ち方や姿勢をチェックして、力を抜いた楽な姿勢で演奏するようにしましょう。

 

 

晴れて「初心者」の仲間入り

1オクターブ目の音階をすべて出せたら、ようやく「初心者」です。オカリナだったら初日に「ドレミ」の練習ができますが、横笛では「ドレミ」までが大変なんです。

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でも安心するのは早いです。「筒音」が上手にコントロールできないうちは、2オクターブ目の音階も不安定ですし、調子外れの音や「にごり」「かすれ」が出やすく、そのまま何年も「初心者」のままです。

 

横笛に慣れるまでは「」「」「」「ファ」「」「」「」という順番や、

」や「ファ」「」など出しやすい音程から音を出すようにしましょう。

 

 

「筒音」で20秒間をめざす(ロングトーンの練習)

ここまでドアをノックするような「フッ」「フッ」という吹き方で練習してきました。ここからは「フ〜〜〜〜ッ」と長く吹いてみてください。

酸欠になったらアウト。基礎からやり直しですよ。

 

吹奏楽部がよく体育館の裏などで「ファ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」と楽器を長く吹いています。これが「ロングトーン」の練習です。

笛の演奏では「風力1」で静かにロングトーンを維持した時の3倍息を消費します。

ですから笛の音を10秒間維持できる人は、演奏では3秒間で息が苦しくなるのです。

これでは演奏になりません。修行不足です。

 

気持ちよく横笛を演奏するためには「筒音」を静かに長く、20秒間維持する実力が求められます(それで6〜7秒間演奏できますね)。

 

これまでの練習(特に④)をふりかえって、まず呼吸を整え唇の固め方を見直し息の角度を微調整して、心をこめて「筒音」に向き合ってください。

10秒ほどで息が続かなくなる人は、④唇だけで持続時間を計測する練習を徹底的にやり直してください。

唇の形を変えるだけで秒数が伸びることがあります。そこからコツをつかめますよ。

大人力」を発揮して失敗をくり返さないように、しっかり考えてくださいね。

 

 

「初心者」卒業

筒音」を20秒以上維持、「にごり」や「かすれ」がなくなり、静かに吹いても響きのいい音が出るようになったら初心者」卒業です。

 

 

 

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スイカの種を飛ばすように吹く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2オクターブ目に切り替える

ここから先は反復練習がものをいう「千本ノック」になります。

筒音」が20秒間続かない「初心者」でも練習できますが、厳しい言い方をすると「上達はしません」。

 

横笛の2オクターブ目、3オクターブ目の音は「風力」を切り替えて演奏します。_瞬間的に「風力4」を「風力6」に変化させるのです。

守山はこれを「歩く音(1オクターブ目)」「走る音(2オクターブ目)」と表現。

吹口の「壁」にスイッチがあって、息を細く強くして「パチン」と入れる感覚です。

 

初心者」は息を強く(太く)してスイッチを入れようとします。ですからノイズが増えて不安定な音になり、調子外れな音が出やすく、酸欠になりやすいです。

「それでいい」と考えている限りは何年経ってもソノママです。

 

上級者」は唇をキュッと絞って息を細め、スイッチをピンポイントで狙います。

1オクターブ目を演奏するときは「丹田」はリラックスしていますが、2オクターブ目に切り替えた瞬間、「丹田」に力をこめています。

 

 

「筒音」を切り替える

ここから1オクターブ目の音程は青表示。2オクターブ目はピンク表示になります。

筒音」は静かに吹かないと維持できない音です。そのぶん2オクターブ目に切り替えやすいとも言えます。

筒音」を吹きながら、スイカの種を飛ばすように「プッ」と強く吹いてみてください。2オクターブ目の「」に変化します。

何度かくりかえしてコツをつかんでください。

 

 

ロングトーンで息の細さを覚える

2オクターブ目の「」の出し方がわかったら、

 ①静かに長く  「ド〜〜〜〜〜〜〜ド〜〜〜〜〜〜〜

 ②反対に    「ド〜〜〜〜〜〜〜ド〜〜〜〜〜〜〜

 ③一呼吸つかって「ド〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

①②ではスイッチを入れる感覚、③では「」の「風力」がつかめます。

 

このように2オクターブ目の音を演奏で使うにはロングトーン無理なく吹きながら息の細さ・強さを感覚的につかんでいくことが大切です。

 

指穴をすべて閉じたまま息を細く強くしていくと、「」より高い音が出ることがあります。

2オクターブ目の「」や3オクターブ目の「」がでます。

もっと頑張れば3オクターブ目の「」も出せます。

 

こういう高音を「倍音」といいます。ドレミ音階の基になった音程の配列です。

指穴を閉じたまま「倍音」でロングトーンの練習をすると、3オクターブ目が演奏できるようになります。

 

大人力」の高い人なら、面白がっていろんな音を出して、あっという間に3オクターブ目をマスターするのでしょうね。

 

 

よく「2オクターブ目の高い音が苦手」という人がいます。いったん苦手意識を持ってしまうと、その音が近づくと緊張するので、呼吸が乱れて失敗しやすくなります。失敗すると、さらに苦手意識が強くなります。

ひどい悪循環です。

 

けれども難しい2オクターブ目の「」でも、ロングトーンで何回も、それこそ5分も吹いていれば、無理なく吹くコツがわかってくるものです。

大人力」を使えば「ファ」を5分。「」を5分。「」を5分。「」を5分。トータルで1時間もかからずに高音域が演奏できるようになります。

 

千本ノック」なので、繰り返し繰り返し練習してください。

 

 

運指の中で切り替えられるようにする

2オクターブ目の切り替えの練習方法を紹介します。

」「」「」「ファ」「」「」「

」「」「」「ファ」「」「」「

などと運指を変えながら2オクターブ目に切り替える。

反対に2オクターブ目から1オクターブ目に切り替える。

 

 

 

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3オクターブ目のドが使えたら

ケーナ「業界」では高音域が演奏できて当たり前。3オクターブ目の「」が演奏できないというと、そうとうな劣等生です。

横笛の演奏では、低音域メインの童謡なども多いので、2オクターブ目の「」まで演奏できれば、ほとんどの曲で困らなくなります。

それでも「これぞ!!」という曲に出てくるのが3オクターブ目の「」。

 

せっかくなので3オクターブ目の「」は演奏できるようになりましょう。

 

3オクターブ目の「」が使えたら…

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「苦手意識」か「成長を喜ぶ心」か

同じことをしていても怒る人喜ぶ人がいます。

笛の練習でも苦手意識を持つ人と、練習を楽しんで喜ぶ人がいます。

 

「2オクターブ目の切り替え」でも紹介しましたが、いったん苦手意識を持ってしまうと、演奏中に緊張しますし、練習時間も短くなりがちです。

けれども、どんなに難しく思える技術でも、正しい練習方法なら意外なほど短時間でクリアできるものです。

 

みなさんは大人になってから難しい横笛を練習するのですから、簡単に上達できないのが当たり前です。

それでも、

 ①できることを楽しみ

 ②ちょっと頑張ればできそうなことを目標にし

 ③わずかでも上達を感じたら、自分の才能を喜んでください

 

笛教室の生徒さんの中には80歳を越えても新曲に挑戦する人もいますし、まったくの未経験から、守山があせる?ほど上手になった人もいます。

そういう生徒さんと接していると、笛作家として本当に嬉しく思います。

 

ライブやセッションに縁のない一般の方は、笛を気持ちよく吹くのが終着駅です。

1日15分の練習しかできなくても「大人力」をいかんなく発揮して、横笛の演奏を楽しんでいただけたら… と心から願っています。

 

 

 

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