守山鷲声 作品と日本画コレクション

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●タイトル写真

和歌山の空襲で焼け残った旧西本ビルで撮影。楽器はチベッタン・ベル、風鈴、イタドリの尺八、横笛、石笛です。

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●アートピクニックin京都に出店

谺堂は店舗を持っていませんが、写真はアートピクニックin京都で哲学の道沿いのカフェ・チェリーさんに展示したもの。アートピクニックには毎年参加しています。

 

 

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●吹枝   試聴

「ふえ」という言葉の語源になったといわれる「吹く枝」。写真はハゼの枝にクマンバチが穴をあけたもの。冬眠用の巣穴で、一つの穴に何匹もはいって冬眠するようです。春先に拾って吹いたら、中にクマンバチがいたこともあります。

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●ひょん  試聴 (このひょんではありません)

イスノキの虫瘤です。吹くと「ヒョーヒョー」鳴ることから「ひょん」と言われます。和歌山県海南市では「猿の笛」。イスモンゼンアブラムシという虫が葉に産卵。葉の内部を食べて瘤になり、夏に穴をあけて巣立ちます。いろんな形がありますが、このヒョンは「BLEACH」(週刊少年ジャンプ)の某キャラにそっくり。

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●ひょん

一枚の葉に2匹が産卵すると穴が2つ開く。このひょんの2匹は仲が悪かったのか逆の方向に食べ広げて、穴も反対に。2つ穴のひょんは貴重です。片方を吹きながら、もう一方を指穴のように開閉して音程を変えられます。自然は本当に不思議なものを作ります。

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●石笛 海皇  試聴

石笛を求めにきた山伏さんが「石笛の王」と絶賛じた石笛。石は黄鉄鉱の結晶を含む「緑色岩」(らしい)。緑食岩というのはプレートに乗って日本列島にぶつかった火山島の溶岩だそうです。表面は血管が浮き出したようでズッシリと重く、孔も内部がザラザラしていて、穿孔貝の孔ではありません。音色は雑味を含み力強い音色です。和歌山県串本町産。

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●石笛 龍壷  試聴

泥岩の石笛。表面は光沢があって白い模様がある。これは泥の表面を生物が動いた痕跡の化石。2000万年を経て岩になり、穿孔貝が棲みついて石笛になったものです。音色は落ち着いた中低音。貫通孔になっていて、開け閉めすると鹿の声そっくりになる。これも自然の造形の面白さ。串本町産。

 

 

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●串本の夕焼け

最初は狭い範囲が赤く染まるだけだったが、みるみる空いっぱいに広がって、迫りくる生き物のようだった。西がひらけた和歌山の沿岸部では夕日を拝むおばあさんの姿をよく見かけます。熊野には補陀落信仰から西方浄土を目指して海に出た僧侶も多かった。そんな僧侶の情念を感じる空でした。

空の写真は「一瞬の美」を感じるので大好きです。

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●虹

主虹(下)と副虹(上)が見事です。主虹の内側にも虹が見えます。過剰虹というそうですが、過剰というネーミングセンスはひどいと思いませんか。

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●過剰虹

主虹をアップで。過剰虹が何本も見えます。主虹の上にも薄い虹が見えています。過剰虹は風がなく雨粒の大きさがそろったときに見えるそうです。守山は10層以上の過剰虹を見たことがあります。そりゃあもう「在り難い」ことこの上なし。ただカメラがなかったのが残念です。

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●日輪と環水平アーク

自宅前で撮影。空全体に霞がかかったような日は日輪が現れやすいです。日輪は一年を通して観察できますが、環水平アークは春先の記録が多いです。環水平アークや彩雲は「吉兆」とされますが、神道の本を読むと「在り難いこと」があるのは神様や先祖がエールを送っているので、「後でイイコトがあるよ」という前兆現象ではないそうです。

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●幻日環

上の写真を撮ったとき、ふと真上を見上げると日輪からずれた輪がうっすらと見えた。幻日環は円周上に太陽を貫く白い輪で、「白虹」ともいうらしい。写真には太陽が写っていないが、円弧の延長線上に太陽があるのがわかる。

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●環天頂アーク

自宅ベランダから撮影。環天頂アークには4回出会っています。ようやく写真に撮れました。

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●彩雲(五色の雲)

幻日や環天頂アークなどの現象は夕方に発生することが多いので、大昔から人々は西に不思議な光や雲をみることが多かったのだろう。西方を仏の住む浄土だと信じたのも、このような現象がが由来なのかもしれません。

写真の雲もその一つ。よく見かける彩雲は「太陽光」そのままの黄色みをおびて光る雲ですが、雲が薄いと光が分離して赤や緑に染まることがあります。仏画で天女と描かれる五色の雲にそっくりです。この写真でも重くて暗い雲の向こう側に「別の世界」があるように見えます。

 

 

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●光る木

この木は5時ころから数分間、写真のように光ります。さまざまな色に光る幹が美しいです。

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●光る木

最初に発見した「光る木」です。この木は4時15分から5分間ほど光ります。条件が厳しいので写真のように光るのは、よほどの幸運に恵まれた時だけです。

 

 

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●紀の川から引き上げられた古代楠

楠は魔除けの神木として神社の四隅に植えられることもあります。木の表面に擦り傷がないので、台風12号で上流から流されてきたと考えるより、川底の泥に埋まっていたものが水面に現れたと考えるほうが自然。(守山は、こういう「理にかなったこと」を「自然」と表現する日本語にしびれます)


 

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●古代楠

幹の一部はザラザラになっています。木目というより溶岩のようです。木の大部分は泥に埋まっていて、この面だけが泥から顔を出していたのでしょう。水流で表皮をはぎ取られ、木も削られています。1300年もの時の流れ、紀の川の流れを感じると感動します。

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●古代楠

水流で削られた幹のアップ。写真左下に白い小石が挟まっています。このことからも、この面が川底の泥から出ていたことがわかります。

 

 

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●松の新芽 1981年5月7日撮影

発芽直後の松の葉は紡錘形のカゴの形をしています。しばらくするとカゴの下から新しい葉がのびてきて、先端の殻が落ちて葉が広がります。

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●ケキツネノボタン 1981年年5月2日撮影。

ぼやけた背景に無数の命が混在する「自然」を感じます。この光景なら1時間でも見ていられると思うのですがどうでしょう。昔、草むらに1時間うずくまって写真を撮り終えて立ち上がった時、犬を散歩させていたおばさんと目が合って、氷つかせたこともあります。

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●ヒメハギ 1981年5月5日撮影。

変わった形の花ですが、公園の芝生の端や神社の境内なんかでよく見かけます。あまりに小さすぎて気がつかない花です。

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●ミヤマウズラ

ミヤマウズラはランの一種ですが、愛好者の多いシュンランとは違って暗い森の中でひっそりと咲く花です。でも造形は完全に「鳥」ですね。

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●エノコログサ

11月の早朝、エノコログサに小さなクモが網をはり、朝露が輝いています。

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●キンミズヒキとトンボ

キンミズヒキの枝にトンボがとまっていました。羽には朝露がつき、気温が低いので動くこともできません。

写真に撮った生き物たちは短い寿命を終えて、この世にはいません。でも写真の中ではいつまでも輝き続けます。

 

 

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●扇屋内蓬莱山みやひと

喜多川歌麿(1753〜1806年)は今から200年前に亡くなった浮世絵師です。当時は寛政の改革の嵐が吹き荒れ「贅沢禁止令」のもとに、歌麿の作品が何度も禁止されています。歌麿自身投獄され、その2年後に亡くなっています。

歌麿作品は出来不出来の波が大きく、遠慮がちな絵や首から後頭部にかけて異様に細い絵、元気すぎて構図の崩れた絵もあります。この絵は落ち着いた構図に鮮やかな配色。帯の模様も緻密な歌麿の最高傑作の一つ。復刻木版画もすばらしい出来です。背景は紅花色素で色づけした雲母粉末を刷毛で塗ったキラ摺りです。このすばらしい木版画が某書店で4000円。蓬莱山みやひとは、かんざしの数が多いので吉原の遊女だとわかります。

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●高名美人六家撰 辰巳路考

この絵も落ち着いた構図。路考は深川の芸者。深川は江戸の辰巳の方角。かんざしの数をみても町人だということがわかります。生き生きとした表情とポーズが、200年前の絵とは思えない存在感を引き出しています。

画面右上の枠内の絵は「辰巳路考」の名前の判じ絵。歌麿が描く町人娘が評判となって大にぎわいになったので、幕府から「町人の名前を書いてはならぬ」と禁止令がでたのだ。苦肉の策で判じ絵を入れると、今度は「町人の名前を判じ絵で入れてはならぬ」という禁止令が出た。最終的には「錦絵の禁止令」がでて、浮世絵師の多くが肉筆画に転向してしまう。そんな中、歌麿だけは手を変え品を変えて、木版美人画を描き続けた。

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●勝川春章肉筆美人画 美人読書図

原画は縦一尺四寸、横一尺一寸五分。A3用紙くらいの大きさしかない。どれほど緻密な絵かおわかりでしょうか。勝川春章は喜多川歌麿・窪俊満とならぶ守山の最も好きな美人画絵師。現存する作品数が少なく、肉筆画中心で浮世絵(木版画)を多く残さなかったので有名ではない。春章の名前を知っていればかなりの浮世絵通。

昭和10年発行の肉筆浮世絵集(芸艸堂)で白黒写真を見ていたが、某書店で昭和初期の石版印刷の復刻画が500円で売られていた。石版印刷は原画を23色に分けて彫師が彫った多色刷りの版画。この繊細な絵を石に彫ったのだから凄い。

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●勝川春章肉筆美人画 桜下三美人図

昭和8年発行の肉筆浮世絵大観(便利堂印刷所)の付録のカラー図版(石版印刷)。浮世絵には独特の表現方法がある。多くの絵は「決めポーズ(動きの終点)」を描くが、浮世絵では「中途半端なポーズ」を描いている。半開きの唇がそう。ビデオをコマ送りすると「声を出そうとする瞬間」に浮世絵の口になるのがわかる。この絵の美人たちのポーズも、背中を後ろにそらして顔を突き出す不思議なポーズになっている。足の位置も「歩き出そう」というポーズで止まっている。

こういう中途半端な動きを見ると、何か動き出しそうな気がしてくる。ある美人の表情に見とれていると、視界の端で手が動くような気がするのだ。みなさんもぜひ拡大写真で楽しんでください。

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●教訓親の目鑑 ぐうたらべえ

ふたたび歌麿の作品。相次ぐ禁止令で実在の美人を描けなくなった歌麿が、最後に?たどり着いた「こっけい画」のシリーズ。いまでいうオリジナルキャラが生き生きと描かれている。内容は「人畜無害で何もやる気がないのは親の育て方が悪いのだ」という「オジサンの愚痴」。朝起きて顔を洗いにきた女。歯磨きの楊枝と茶碗を持って、肩には手ぬぐいをかけている。蓬莱山みやひとの美しさや路考の「女っぷり」こそないが、いかにも深夜の駅に座っていそうな「人間らしさ」を感じる絵です。200年前にこの絵を描いた歌麿の茶目っ気が、ちゃんと伝わってくるところが大好きな一枚です。

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●久保小学校 全体図

写真を見ながら鉛筆1本で描いています。下書きはせず、描いた線が気に入らなければ、消して描き直すだけ。それでも5時間もあれば完成します。

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●久保小学校 校舎裏

校舎の背後。手前にある杉や桜の木を透かした絵になっているが、どうやって描いたか思い出せない。やたら楽しかったのだけは覚えているのだが…

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●久保小学校 教室

懐かしの木造校舎。守山の小学校も木造校舎だったが、在学中に取り壊されて鉄筋になった。この絵のほかに職員室なども描いています。

結局作品が日の目をみることはなかったので、どこにも発表していません。

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自然の造形の不思議
雲や虹 二度と出会えない美しさ
人知れず光る木の不思議
悠久の時がつくる不思議
見落としそうな足下の不思議
人の遺した美しさ
守山の設定資料
最終更新日 2014.05.15
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